【pkmnBW:003】あたしの旅立ち

※妄想と捏造含むプレイ日記(小説風)です。台詞の捏造有り。
※作者は「ゆえ」の方、ただいまバッジ6つ目(遅い)
※ゆえは下記のステータスでプレイしています
 ・ソフトは「ブラック」
 ・主人公は「女の子」(名前はブランシェ、プレイ記中では「ホワイト」表記、そのうち「トウコ」にするかも)
 ・最初の手持ちは「ツタージャ」
 ・主人公の一人称は「あたし」
 ・性格は勝気なお転婆、ちょっぴりツンデレ、だけどホントは優しい子。
 ・ストーリーは「N主♀」に寄り。
 ・すでに ED号泣 の予感がしている
 ・一話目はコレ。
 ・捏造セリフがあるよ!
以上、平気な方はどうぞ。


 
***
 あたしは呆然としたまま、自分の部屋に立ち尽くしていた。それは、数分前、ギフトボックスを開ける前の「呆然」とはぜんぜん違う、居心地の悪いものだ。
 ガタガタに倒れた家具。めくれ上がったカーペット。壁を縦横無尽に走る、ポケモンの足跡。
「……はぁ」
 全ては、ベルの「ミジュマル」とあたしの「ツタージャ」が引き起こしたことだ。
『ねえねえ! ポケモン勝負しようよ!』
『……あのね、ベル。まだ弱いポケモンとはいえ、家の中でポケモン勝負はダメだよ』
『だいじょーぶだって! まだこのコたち弱いんでしょ? 戦わせて育ててあげないと! というわけで、ホワイト! ポケモン勝負、はじめようよ!』
 それもそうかなーなんて一瞬でも思ったあたしがバカだった。チェレンの言う事をふたりして聞いておけばよかったのだ。そういえば、ちびの時から、あたしたちふたりはいつもそうだった。止めるチェレンを無視して草むらに飛び込んで怪我したり、雨にふられてびしょぬれになったり、道に迷って途方に暮れたり。涙目のあたしたちに呆れた顔で、傷薬をくれたり、ママを呼んできたりしてくれるのも、いつもチェレンだったけれど。
「でもまぁ、チェレンも勝負始めちゃうとは思わなかったけどねー」
 これ以上部屋を荒らすなんてことはしない、そう宣言したとおり、チェレンとの勝負で部屋が荒れることはなかった。でも、いつだって冷静なチェレンが興奮を隠しきれずに行動に出るなんて本当に珍しくて、あたしは結構びっくりしたのだ。たしかにチェレンには、ああ見えて結構直情的なところがある。だけれど、いつもそれを、眼鏡の奥に、きっちりとしまっておいているから、表立って出てくることはあんまりないのだ。
 勝負は、急所をついてくれたツタージャのお陰であたしの勝ちだったけど、ポカブを繰り出すチェレンの瞳は、本当に楽しそうに明々と燃えていた。そういえばあんな顔、しばらく見ていない。きっと、よっぽど嬉しかったのだ。
「……さて、どうしようかな」
 今頃、階下ではチェレンとベルが、部屋を荒らしたことをママに謝っているはずだ。確かにあたしが悪いわけじゃないけれど、うっかり勝負を受けた責任はある。とっとと輪に加わって、あたしも謝るべきだろう。
「……うん、wiiもテレビもパソコンも無事っぽいし!」
 電子機器にちゃんと電源が入ることを確認して(そしてほっとして!)、あたしは二人のあとを追った。

「かたづけ? いいのいいの! あとで、あたしがやっておくから。それよりアララギ博士に、会わなくていいの?」
 階段を降りたあたしの耳に飛び込んできたのは、ママのこんな、びっくりするようなセリフだった。だってママってば、お掃除も後片付けもイマイチ苦手で、大っきらいなはずなのに! だけど、目を見開いて固まるあたしをそっちのけでママはご機嫌だし、チェレンとベルはママにペコリと頭を下げている。
「はい! では失礼しますね。 ……じゃあ、アララギ博士に、お礼をいいにいかないと。ポケモン研究所の前で、待ってるよ」
「あっ! あたし、一度、家にもどるね! おばさん、どうも、おじゃましましたあ」
「一体どうしたのよママったら」
 二人が扉をでていくのを見送って、怪訝に睨むと、ママは本当に、驚くほど朗らかに笑った。
「ホワイト、ポケモン勝負ってものすごーくにぎやかなのね! 下までポケモンの鳴き声とか聞こえてきたわよ! 思い出しちゃうなー、初めてのポケモン勝負!」
 ……そうだった。この人は昔、トレーナーだったのだ。
 あたしはそれを思い出して、言葉をのんだ。ママは結婚してあたしを生むまで、トレーナーとして、結構いろいろなところを旅していたらしいのだ。どのぐらい強いのかはあたしは知らないけれど、チェレンやベルのママに聞いたところによると、「けっこーすごいトレーナーだった」らしい。
 ママはきっと、部屋を荒らされてやれやれと思うより、あたしの初めての勝負の方にワクワクしたのだ。ママは美人で優しいけど、昔はきっとお転婆娘だったんだろうなぁ、と思わせる豪快な性格をしている。あたしが何かしたくらいでこの人を驚かせることは難しいし、どっちかというと、ママが何かすることであたしが驚くことの方が多い。
「あと、でかけるならライブキャスターをわすれないでね。あなたも博士にお礼をいうんでしょ?」
「あ、うん。ちゃんと持ってるよ」
「じゃ、いってらっしゃい!」
 ママは満面の笑みのまま、あたしの背をポン、って叩いた。
 ああもう、この放任っぷり。信じてくれるのはうれしいけど、ほんとにそんなでいいの? ママったら! あたしが将来誰かと結婚して、子供を産んでも、こうなれる自信はあんまりない。はあ、まったくもう、ママにはかなわないなあ。

「……あ、ベルも誘ってから行こうかな」
 ポケモン研究所に向かう前に、あたしは、ベルが一旦家に戻ったことを思い出した。どうせ行くなら、ベルも一緒の方がいいだろう。そう思って、あたしは足を、ベルの家へと向けた。――チェレンのお小言をひとりで聞きたくはないから、なんてことは断じてない。
「あの、おじゃましま……」
「だめだめだめーっ!!」
「あたしだって…… ポケモンをもらった、立派なトレーナーなんだもん! 冒険だってできるんだから!」
 いつものようにドアを開けた瞬間に飛んできた大声に、あたしはびっくりして飛び上がった。なんだか今日は、びっくりしてばっかりだ。何事だろうと見渡せば、ベルとベルのパパがリビングのど真ん中で、何事か言い争っている。思わず視線をそらすと、ベルのママとバッチリ視線があってしまった。……ベルのママは、困ったような、おかしいような、不思議な顔で笑っている。
 思わずもう一度、ベルとベルのパパを見つめてしまった。
「あっ」
 しまった、気づかれた、と思ったときにはもう遅く。
 ベルの綺麗な緑色の瞳がバッチリあたしを映して、困ったみたいにちょっと歪んだ。
「……大丈夫だよ。……大丈夫! それじゃあたし、研究所の前で、待ってるからね!」
 あたしと目があったベルは、ミネズミみたいに跳ね上がって、家を飛び出して行ってしまった。迎えに来たはずのあたしが、おいていかれた形だ。
「……旅だなんてとんでもない! あんなに世間知らずなのに!」
 ベルのパパは頭を抱えて、途方にくれている。どうやら、ベルのパパは、ベルがポケモンと一緒に旅立つことを反対しているみたいだ。ベルのパパはベルのことを本当に本当にかわいがっているから、仕方ないのかもなぁ、とも思うけど、ああ、ウチとはなんて差だろう! ……と思うとなんだか複雑。もちろん、反対されたいわけじゃないんだけどね。
「……パパったら、心配しすぎよね」
 そんな自分の夫の姿を見て、ベルのママはあたしの耳元に、小さくささやいた。そうして今度は、ふんわり笑う。
「案外あの子、しっかりやれる気が、わたしはしてるのよ」
 あたしは小さく頷いた。そう、大丈夫。ベルはぽやぽやしてるけど、決して馬鹿ではないし、案外しっかりしてるのだ。ちびの頃から一緒に育った、あたしはちゃんと知っている。
「……だけど、何かあったら、ベルをよろしくね、ホワイト」
 ベルは愛されてるなあ。
 あたしはちょっぴり羨ましくなって、それでも、こんどはしっかりと頷いた。

 慌てて研究所に向かうと、チェレンもベルも、扉の前で待っていてくれた。
 チェレンは珍しく、ちょっぴり笑うと「さ! 博士に会おう」なんて、さっさと中に入っていってしまう。ベルもニコニコ顔であとを追うものだから、必然的にあたしが最後になった。
「ハーイ! 待ってたわよ、ヤングガールにヤングボーイ!」
 中に入るとアララギ博士が、ママ以上の笑顔で立っていた。あたしとベルもつられて笑顔になる。チェレンはなんだか怪訝そうで、一歩引いている。……まったくもう、チェレンったら。
 アララギ博士は、あたしたち三人が横に並ぶと、綺麗な笑顔のまま、言葉を続けた。
 
「あらためて、自己紹介するね。わたしの名前は……」
「……アララギ博士? 名前は知っていますよ」
「もう! チェレンったらちょっとクールじゃない? きょうは記念となる日でしょ! かしこまったほうがいいじゃない」
 不満そうに頬をふくらませたアララギ博士に、そういうものですか、とチェレンは冷めている。もちろん、付き合いの長いあたしには、それでもチェレンが興奮しているのがわかるけれども、アララギ博士には分からないだろう。それでも、博士は肩をすくめただけだった。さすがオトナだ。
「ではあらためて…… わたしの名前はアララギ! ポケモンという種族がいつ誕生したのか……その起源を調べています」
 へえ、とチェレンが呟いたのが聞こえた。研究内容までは知らなかったみたいだ。アララギ博士はちょっぴりうれしそうにふふふって笑う。それから、ボールの中のあたしのツタージャを見て、「あっ!」って声をあげた。
「すごーい! もうポケモン勝負をしたのね!」
「……分かるんですか?」
「もちろん! だってちょっぴり、たくましい顔つきになってるもの。それでかな、ポケモンたちもきみたちを信頼しはじめた……そんな感じ!」
「ええっ、でも、一戦しかしてないのに!」
「たった一度戦うだけでも、全然違うの。知らない人と、少しおしゃべりしたことがある人とじゃ、あなたたちだってぜんぜん違うでしょう? ポケモンだって同じよ」
 ねっ、アララギ博士の言葉に、ベルとあたしはふかーく頷いた。そっか、あたしたちもポケモンも同じなんだ。
 あたしは、このことを忘れないようにしよう、って、なぜだか思った。
 そう、あたしも、ポケモンも同じ。
 おんなじく心があって、きっと、得意なことも苦手なこともあるのだろう。おんなじように生きているのだから、あたしたちきっと、うまく行くことも、いかないこともある。だけど、あたしとチェレン、ベルの三人だって、こんなに性格も得意なことも意見だって違うのに、喧嘩したり仲直りしたりしながら、ずっと仲良くやってこられた。
 「あたしたちは同じ」。このことを忘れなければ、きっと、あたしとポケモンとも、うまくやっていけるはず。
 アララギ博士は、あたしの顔を見て、また、にっこり笑った。

 それから、アララギ博士は図鑑について説明してくれた。レクチャーをするから、1番道路においで、とも。
 そうしてあたしたち3人は、博士のいなくなった研究所で、じっと自分たちのモンスターボールをみつめている。
「あ、あたしたち、博士に頼まれたから、冒険してもいいんだよね? 自分のやりたいことを探してもいいんだよね?」
「ああ、図鑑を完成させながら、好きなように旅すればいい」
「なんだかドキドキしてきた! ねえホワイトはツタージャとなにするの?」
「……ようやくポケモントレーナーになれたんだ、他のトレーナーとの実戦を重ねて強くなるよ、ぼくは。ホワイト、きみはどうしたいんだ?」
 ベルもチェレンも興奮気味だ。旅に出る前のドキドキを、一生懸命押し隠そうとしているように見える。
 あたしは二人の問いに答えずに、外に出た。
 外は、春の、優しい空気に満ちていた。
 薄紅色の花びらがふわりと宙を舞って、青い空をバラ色に染めている。旅立とうとするあたしの背を押すような、清々しい風。こういう風を「はじまりの風」というのだと、誰かが昔、言っていた。
 そう、あたしは旅に出るのだ。この、きれいな田舎の町を出る。それは少し寂しくて、だけれど大きな期待に満ちていた。ああ、あたしは何をしようか。ちっぽけなあたしがひとり、いったいなにができるのだろうか。
 まだ、先のことは何も見えなくて、あたしには、なにもないけれども。
 あたしは自分の手の上の、ツタージャのボールをきゅっと握りしめた。
 ボールが、びっくりしたように、カタカタ揺れる。
「……改めてよろしくね、ツタージャ」
 ボールはぴたりと大人しくなった。
 あれっと思ってボールを覗き込んだら、ツタージャは、なんだか誇らしげに胸を反らしていた。
 そうだね、あんたたちと一緒だったら、きっと、なにかしら、すてきなことができるんだろうな。

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